不倫相手から婚姻関係は破綻していると聞かされていた場合の慰謝料

悩んでいる女性

婚姻破綻と聞かされていたのだけど……

慰謝料の支払いを免れることができるか

謝罪

不倫相手から「俺たちの婚姻関係は破綻している」とか「妻とは離婚したいと思っている」と聞かされて不倫関係になった人が慰謝料を請求された場合、「聞いていた話と違う!」や「慰謝料を請求されることに納得できない」というように感じることもあるでしょう。

当事務所にも非常によく寄せられるご相談です。なお、婚姻破綻とはどのような状態を指すかについては→こちらの婚姻破綻とはを参考にされてください。

常套句

疑問

では、「貴方のご主人(奥さん)からの婚姻関係は破綻しているという話を信じて不倫関係になったのだから、私には故意も過失もなく不法行為には該当しないので、慰謝料請求には応じられない」というような主張は通るのでしょうか?

まず、考えていただきたいのは、配偶者がいながら不倫をする人が「妻とは新婚当時のようにラブラブだ」「私たちの夫婦関係は非常に円満だ」というようなことを言うか?ということです。

配偶者以外の人とこれから不倫関係を持とうとしているのですから、常識的に考えてもそのようなことは言わないですよね?

むしろ「妻とはうまくいっていない」「離婚したい」「夫婦関係は崩壊している」「家庭内別居だ」というような言葉を並べて、不倫関係になろうとすることは普通の大人であれば容易に想像できます。

つまり、「俺たちの婚姻関係は破綻している」のような言葉は配偶者がいながら不倫する人の常套句なのですから、常識的に考えてもそれを鵜呑みにすることに問題(過失)があると言えるでしょう。

ポイント

ここがポイント!


婚姻関係が破綻している、家庭内別居などは、不倫をする人間の常套句。

判例

裁判

配偶者がいながら不倫する人の「妻とはうまくいっていない」「離婚したい」「夫婦関係は崩壊している」「家庭内別居だ」などの常套句を信じることは、常識的に考えても上記のように問題(過失)があるのですが、判例も同様の立場をとっています。

つまり、裁判所はこのような不倫の加害者側の主張をほとんど認めていません。

  • ※参考判例1(東京地裁平成22年4月15日、Aは原告の配偶者)
  • 原告とAとの婚姻関係が継続され、これが破綻していたとは認められないその以前の状況下においては、Aに妻(原告)があることを知りながら関係を結び、これを継続した被告には、妻との婚姻関係が破綻したとの説明をAから受け、Aがゴルフに頻繁に参加するなどしていたにしても、過失があったというべきことになる。
  • ※参考判例2(東京地裁平成22年12月24日、Aは原告の配偶者)
  • 被告が、Aが婚姻していたことを認識しつつ、Aの説明を鵜呑みにして、その婚姻関係についての事実関係を確認していなかったことに照らすと、被告が本件不貞行為について、少なくとも過失があったことは明らかというべきである。
  • ※参考判例3(東京地裁平成25年12月17日、Aは原告の配偶者)
  • 婚姻関係にある一方当事者が、異性に対して自らの家庭が不和であることを告げたとしても、そのことが真実であるとは限らないのであり、被告が、そのようなAの言い分を無批判に受け入れたこともにわかに信用できない。
ポイント

ここがポイント!


常套句を信じたとしても過失があるとされて、損害賠償責任を免れることはできない。

慰謝料が減額される余地はある

上記のように、「俺たちの婚姻関係は破綻している」のような言葉は配偶者がいながら不倫する人の常套句を信じたと主張したところで、不倫の加害者が損害賠償責任を免れることはまずありません。

計算

しかしながら、上記参考判例3は「被告の供述する上記事情ないし経緯(Aから長期間にわたって原告との不和が続いていた旨を聞かされたこと、Aが心筋梗塞を患ったことから、Aに対して同情の念を抱いたこと)は、原告に対する損害賠償の算定に当たって考慮する一事情にとどまるというべきである。」と続いておりますので、慰謝料が減額される余地はあるでしょう。

  • ※参考判例4(東京地裁平成26年3月17日、Aは原告の配偶者)
  • 被告は、Aから、原告が金銭トラブルを抱えており、少なからぬ額の借金があることをなどから夫婦仲は不和となっている旨告げられたり、平成20年8月ないし同年10月頃には原告とは離婚して、被告と結婚したいなどとも言われていたことがうかがわれ、被告はAの言を受けて、夫婦の関係が必ずしも円満でないとの認識を有していたものと認められる。
ポイント

ここがポイント!


常套句を信じた場合、慰謝料を減額される可能性はある。

請求を受けたことを不倫相手に相談しても大丈夫?

以上のように、不倫相手から「婚姻関係は破綻している」と聞かされていて、それを信じたとしても、実際に婚姻関係が破綻していない限り、慰謝料を支払わなければいけませんが、支払うにしても、不倫相手にある程度の額を出してもらいたいと考えるでしょう。
その場合は不倫相手に連絡や相談をする必要がありますよね。

ところが、請求書面には「夫(妻)には一切連絡をするな」という内容の記載があることが多いのです。
このような記載がある場合、不倫相手に「奥様(ご主人)から請求が来た」と連絡や相談しても良いのでしょうか?
それについては→次のページ(慰謝料請求を受けた場合に不倫相手と連絡や接触することの可否)で説明しています。

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