どのように争ってくるかを事前に知っておくことが有益

喧嘩

行政書士

ここでは、慰謝料を請求した場合に、不倫相手がどのようにして争ってくるかについて検討しましょう。

そもそも、配偶者と不倫相手との間の不倫・浮気が発覚し、不倫の慰謝料を請求した場合、不倫相手は何とか慰謝料の支払いを回避しようと、あるいは何とか支払う慰謝料額を少なくしようとするのが普通です。

怒る

腹立たしいですね!

行政書士

そこで、不倫相手がその目的を達成するためにどのような反論をしてくるか、すなわちどのように争ってくるかを事前に知っておくことは有益だと思います。

解決までの時間を短縮

質問

なぜでしょう?

行政書士

その不倫相手からの反論を知っていれば、慰謝料を請求する際に、予想される反論を潰しておくことがでます。
そして、その結果として解決までの時間が短縮できるからです。

質問

どういうことですか?

具体例

行政書士

例えば、不倫相手からAという反論が予想されるとします。
その場合、慰謝料を請求する時点でそれに触れずにいると、不倫相手は何と言ってくるでしょうか?

なるほど

「私にはAという反論がある!」と言ってくると思います!

行政書士

そうですね。
それに対して「Aというのは○○という理由でダメだよね」と次の書面を送付するにあたってその反論を潰す必要があります。

悲しみ

面倒ですね……

行政書士

一方、慰謝料を請求する時点で「Aというのは○○という理由でダメだよね」と伝えておけば、無駄な反論に対応する必要もありません。

なるほど

だから解決までの時間が短縮できるわけですね!

予想される反論と対応方法

質問

不倫相手から予想される反論にはどのようなものがあるのですか?

行政書士

これについては、一般的な反論として大きく分けると以下のように4つがあります。

  1. 不貞(肉体)関係を持っていない
  2. ご主人(奥様)が誘ってきた
  3. 既婚者と知らなかった
  4. 婚姻関係が破綻していた

不貞(肉体)関係を持っていない

例えば、慰謝料請求の書面を送付する前に不倫相手と喫茶店などで話をした際、ラブホテル等に行ったこと自体は認めたとします。

行政書士

しかし、ラブホテルでは寝ていただけとか、カラオケをしていただけなどという、訳の分からない往生際の悪い反論をしているような場合を想定されてください。

怒る

ウソとしか思えません!

行政書士

常識的に考えらればそうなのですが、こういう訳の分からないことを言う人は多いのですよ……

行政書士

このような人に請求した場合、どのような反論が予想されますか?

なるほど

「不貞関係を持っていない」です!

行政書士

そのとおりですね。

肉体関係がなければ慰謝料は発生しない

質問

そんな反論は通用するのですか?

確かに、法律上の不倫・不貞行為に該当するためには、原則として肉体関係があったことが必要となります。
詳しくは→こちらの不倫の基礎知識を参考にされてください。

行政書士

したがって、たとえラブホテルに行ったとか、一人暮らしの不倫相手の自宅で朝まで過ごしたとしても、本当に肉体関係がなかったのであれば、不倫の慰謝料は発生しないのが原則です。

ラブホテルのような密室にいただけで不貞関係があったとされる

悲しみ

通用するのですね……

行政書士

いえ、通用しません!

というのも、ラブホテルや自宅というのは密室であって、常識的に考えてその中には配偶者と不倫相手しかいないわけです。

とすると、中で何が行われたかはその当事者二人にしか分かりません。

行政書士

そのため、そのような密室にいたことだけで、実際に中では寝ていただけにせよ、カラオケをしていただけにせよ、不貞関係があったとされるのです。

具体的対処

したがって、そのような反論が予想される場合は、不倫の慰謝料を請求するにあたって、「ラブホテルに入っていたこと自体で肉体関係が認められる」ということを、裁判例を交えながら主張しておくと良いのです。

具体的には「平成○年○月○日の○○裁判所における裁判例では、ラブホテルに入っていたこと自体で肉体関係を認めている」などです。

ご主人(奥様)が誘ってきた

例えば、慰謝料請求の書面を送付する前に不倫相手と喫茶店などで話をした際、「私はご主人(奥様)から誘われて関係を持ったのです」
「だから不倫にはあたらず、慰謝料など払う義務はないはずです!」ということを言っていたとします。

行政書士

誘われた結果として関係を持ったらなぜ不倫にはあたらず、慰謝料が発生しないと考えることができるのか、私には理解に苦しむのですが、これもよくある反論です。

慰謝料が減額されるはず!という主張ならば分からないでもないですけどね。

行政書士

このような人に請求した場合、どのような反論が予想されますか?

なるほど

「ご主人(奥様)が誘ってきた」です!

行政書士

そのとおりですね。

誘われた場合であっても慰謝料は発生する

質問

そんな反論は通用するのですか?

行政書士

いえ、通用しません。
配偶者から誘われて肉体関係を持ったとしても、不倫に該当し、慰謝料を支払う義務があります。

理由
質問

なぜでしょう?

行政書士

というのも、不倫は民法709条の不法行為というものに該当するため、不倫相手に慰謝料を請求できるわけです。
そして、その不法行為の成立には「故意または過失」があれば良いからです。

「故意」とは既婚者と知っていたという意味、「過失」とは注意すれば既婚者と知ることができたという意味ですが、そのような主観があれば、誘われたから肉体関係を持ったとか、お互いに愛し合っていたとかは無関係なのです。

具体的対処

したがって、そのような反論が予想される場合は、不倫の慰謝料を請求するにあたって、「誘われたとしても慰謝料請求は認められる」ということを、裁判例を交えながら主張しておく必要があるのです。

具体的には「平成○年○月○日の○○裁判所における裁判例では、このような事情において慰謝料請求を認めている」などです。

既婚者と知らなかった

上記のように不倫の慰謝料を請求できるのは、不倫相手に故意または過失がある場合に限られます。
つまり、既婚者と知っていたという「故意」があるか、注意すれば既婚者と知ることができたという「過失」がなければ慰謝料は請求できません。

ところが、不倫発覚後に、配偶者に事実関係を確認したところ、既婚であることを告げずに不倫をしていたとします。

行政書士

このような場合、どのような反論が予想されますか?

なるほど

「ご主人(奥様)を既婚者であるとは全く知りませんでした」です!

行政書士

そのとおりですね。

勤務先が同じ場合

質問

そんな反論は通用するのですか?

まず、既婚者であることを知らなかったという反論は、配偶者と不倫相手の勤務先が同じ場合は通る可能性が低いです。

行政書士

常識的に考えても、同じ勤務先であれば、周囲の人間に既婚者であるかどうかを確認することができたわけだからです。

年齢が高い場合

20歳そこそこの結婚率は低いため、その人が既婚者であるか確認しなかったのもやむを得ない面があります。

行政書士

しかしながら、例えば30歳や40歳であれば、結婚していても全く不思議ではありません。
そうだとすれば、それぐらいの年齢の人間と関係を持つに際しては、その人を既婚者であるかを確かめるべきであったと言えます。

具体的対処

したがって、これらの場合は、「仮に既婚者と知らなかったとしても、少なくとも過失はある」ということを事前に書面に盛り込んで、反論の目を潰しておいても良いでしょう。

婚姻関係が破綻していた

例えば、慰謝料請求の書面を送付する前に不倫相手と配偶者のLINEやメール見たとします。
その中に、夫から不倫相手へ「妻との婚姻関係が破綻している」「家庭内別居だ」「離婚したいと思っている」というような内容のやり取りがあったとしましょう。

そして、婚姻関係が破綻した後の不倫については、慰謝料を請求できません。

行政書士

このような場合、どのような反論が予想されますか?

なるほど

「婚姻関係が破綻していた」です!

行政書士

そのとおりですね。

婚姻関係の破綻は簡単に認められない

質問

そんな反論は通用するのですか?

行政書士

確かに、婚姻関係破綻後の不倫に対しては、損害賠償責任を負うことはありません。

このことは最高裁判所の判例からも明らかです。

悲しみ

通用しそうですね……

行政書士

しかし、そう簡単に婚姻関係の破綻は認められません。

家庭内別居程度では婚姻関係破綻ではない

例えば、家庭内別居程度では婚姻関係の破綻とまでは言えず、同居しているような場合はお互いに離婚の合意ができているなどの事情が必要となるのです。
婚姻破綻について詳しくは→こちらの婚姻破綻とはを参考にされてください。

具体的対処

そこで、不倫相手が、婚姻関係が破綻していると思っていたと予想される場合は、「○○という事情(例えば週末には家族で一緒に外出していたなど)がある以上、円満な婚姻生活だった」というような感じで、事前に「婚姻関係が破綻していた」という反論を封じておくべきでしょう。

請求されたらどうする?

ここまで請求者の視点で説明してきましたが、請求された側からの視点で不倫問題を考えれば、請求をより成功させることも可能です。
そこで、慰謝料を請求されたらどのように対応すれば良いのでしょうか?
それについては→次のページ(不倫の慰謝料を請求されたら)で説明しています。

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