不倫の慰謝料を分割払いにできるか

行政書士工藤慎一郎

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慰謝料を分割払いにできるかどうか、分割払いになる場合に慰謝料請求者から求められる強制執行認諾約款付公正証書の作成等の条件、分割額や分割期間の目安

支払いたいけど支払えない

倫の慰謝料額は、一般的に少なくても数十万円、多ければ数百万円に達するので、仮に預貯金がほとんどない人が慰謝料を請求された場合、支払いたいと思っても支払えないという事態が起こり得ます。

そのため「適正な範囲内の慰謝料額であればお支払いしたいけれど、現実問題として支払えないので、慰謝料を分割でお支払いすることは可能でしょうか?」というご相談を非常に多く受けます。

慰謝料請求者が分割払いを認めれば可能

のようなご相談に対する回答は「慰謝料請求者(不倫の被害者)が分割払いを認めれば可能」ということになります。

そして、極稀に「何があっても一括払い以外は認めない」という慰謝料請求者もいますが、現実問題として持っていないものは持っておらず、支払いたくても支払えないのですから、基本的には一括での支払いを望んでいる人が多いものの、最終的には慰謝料請求者も分割払いを認めてくれることが普通です。

ただし、分割での支払いを認めてくれる代わりに、以下のような条件を付される可能性はあります。

行政書士工藤慎一郎

ここがポイント!


慰謝料は一括払いが原則であるが、請求者が分割払いを認めてくれるのであれば分割も可能。
また、最終的には認めてくれることが多い。

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強制執行認諾約款付公正証書の作成

まず、かなりの確率で求められる条件(ほぼ確実に求められる条件と言えるかもしれません。)は、強制執行認諾約款付公正証書の作成です。

公正証書についての詳細はこちらの不倫の公正証書作成をご確認いただきたいのですが、簡単にご説明しますと、解決時に示談書を作成しただけでは、仮に支払いが止まった場合に一度訴訟を起こして判決を得てから給与等の財産を差し押さえるという流れになります。

一方、解決時に強制執行認諾約款付公正証書という、支払いが止まった場合には強制執行されることに同意しますということを債務者(慰謝料の支払い者)が同意した公正証書を作成しておけば、仮に支払いが止まった場合には訴訟をして判決を得ることなく、いきなり給与等の財産を差し押さえることが可能となります。

つまり、万が一支払いが止まったときに備えて、訴訟という面倒な手続きを事前に回避するための書類と言えます。

行政書士工藤慎一郎

ここがポイント!


慰謝料の分割払いを認めてくれた場合でも、強制執行認諾約款付公正証書の作成は求められることが普通。

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作成費用は債務者負担が原則

公正証書を作成するには、公証役場に手数料を支払う必要があり、公正証書に記載される慰謝料額がいくらになるかによって、また何枚の用紙を使うか等によって、その手数料も異なるのですが、一般的な不貞行為に関する公正証書であれば1万円~3万円程度あれば作成できます。

通常は債務者(慰謝料の支払い者)が負担することになります。

なぜなら、本来不倫の慰謝料は一括払いが原則であることに加えて、慰謝料を一括で支払うのであれば公正証書の作成は不要なところを、債務者の都合で分割になり、その結果として公正証書の作成が必要となったからです。

作成を拒否できる?

上記のように強制執行認諾約款付公正証書の債権者にとってメリットがあるものの、債務者にとっては仮に支払いが止まった場合にはいきなり自分の給与等の財産を差し押さえられる書類を、わざわざ自分で費用を払って作成することになります。

正直、作成には応じたくないというのが債務者の本音でしょうが、作成を拒否することはできるのでしょうか?

この強制執行認諾約款付公正証書作成を債権者から求められた場合、それを拒否することは現実的には難しいです。

なぜなら、費用の負担と同様に、債務者の都合で慰謝料の支払いが分割になり、その結果として公正証書の作成が必要となった以上、「強制執行認諾約款付公正証書を作成したくないのであれば一括で払え」と返されるだけだからです。

行政書士工藤慎一郎

ここがポイント!


公正証書作成を求められた場合、それを拒否することは非常に難しい。

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慰謝料額の増額

次に、一括で支払うなら100万円、分割で支払うなら120万円という具合に、一括か分割かによって異なる慰謝料を提示されることがあります。

もちろん、分割での支払いの場合のほうが高額になります。

というのも、慰謝料が分割払いになるということは、いくら強制執行認諾約款付公正証書を作成していたとしても、途中で支払いが滞るリスクが一括の場合と比べて大きくなる以上、多めに支払いをさせたいという気持ちが働くことや、分割で払われている間は運用等がしにくいのですから、額面上の慰謝料額よりも減額していることと同じだからです。

連帯保証人

極稀にではありますが、分割払いをお願いすると連帯保証人を要求されることがあります。

連帯保証人はその人の債務と同じようなものですので、友人や知人はまず頼んでもなってくれないでしょうから、親兄弟等の親族にお願いするしかないのが現実です。

しかし、このような不倫問題、しかも自身が既婚者と不倫をしていたという事実は、親族にこそ知られたくないと思う人が多いですし、連帯保証人をお願いするということは、法律上無関係な人を不倫問題に巻き込むことになりますので、断ることを検討されても良いと思います。

分割で支払う場合の目安

金額

これは債務者(加害者)の給与の手取りの4分の1がひとつの目安となります。

というのも、仮に訴訟に発展して債務者が裁判所から命じられた慰謝料額を一括で支払えない場合、債務者の財産や給与債権を差し押さえることになりますが、債務者の給与債権を差し押さえるとすれば、原則としてその手取りの4分の1まで差し押さえることが可能(手取りが44万円を超える人に対しては、それ以上の額を差し押さえ可能です。)だからです。

つまり、債権者とすれば債務者の手取りの4分の1以下の額の分割に応じるぐらいであれば、訴訟を起こして判決をもらったほうが早期に債権を回収できることになるので、債務者(加害者)の手取りの4分の1がひとつの目安となるわけです。

行政書士工藤慎一郎

ここがポイント!


月々の分割額は協議で自由に決定できるが、手取りの4分の1程度がひとつの目安となる。

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期間

当事務所は多くの不倫問題解決に関するお手伝いをさせていただきましたが、支払い期間に関する目安は特にないと感じます。

「1年以内」とか「3年以内」というように、請求者ひとりひとりは支払い期間に関する希望を持たれていることが多いですけどね。

ただ、あまりに長すぎる支払い期間(概ね3年以上)は、債権者債務者双方のためにも有益ではないと思います。

一括での支払い以外は認めないという慰謝料請求者への対応

貯金がないものはなく、一括で慰謝料を払いたくても払えないのですから、最終的には慰謝料請求者も分割払いを認めてくれることが普通ですが、極稀に何が何でも一括払い以外は認めないという請求者がいます。

訴訟になっても結果は分割払いと同じ

ここで考えるべきことは、慰謝料請求者から訴訟を起こされて、裁判所が命じた慰謝料額を一括で払えない場合、どのようになるかです。

はい、財産の差し押さえを受けます。

そして、預貯金がない人は他に不動産等の財産もないことが普通ですから、財産の差し押さえとは多くの場合、給与の差し押さえです。

となると、何が何でも一括払い以外は認めないという請求者が仮に訴訟を起こしたとしても、現実問題として毎月の給与を差し押さえて、手取りの4分の1ずつ回収していくしかないのですから、結果的には分割払いと同じです。

よって、上記を説明して何とか分割払いを認めてくれるようお願いすれば良いのですが、それでも分割払いを認めてくれないのであれば、訴訟を起こしてもらうことを検討してもいいかもしれません。

行政書士工藤慎一郎

ここがポイント!


どうしても分割払いを認めてもらえない相手には、訴訟をしても結果は同じであることを丁寧に説明する。

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