内容証明郵便での婚約破棄慰謝料請求
婚約破棄慰謝料請求の内容証明郵便とはどういうものか、作成を行政書士等に依頼するメリット、拒絶時の対応等について紹介しております。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、誰が、どのような内容の文章を、誰に対して、いつ発送したのかを郵便局が証明してくれるものです。
内容証明郵便という物々しい名前がついていますが、単なる手紙の一種であり、内容証明郵便を受け取ったからと言って、その内容証明郵便で請求されている婚約破棄の慰謝料を必ずしも支払わなければならないとか、回答期限(設定されていることが多いです)までに回答しなければならないとか、何らかの法的義務が発生するわけではありません。
一般的に婚約破棄の慰謝料などの損害賠償請求を内容証明郵便で送付する際には、「金○○万円を○月○日までに、下記口座にお振込下さい」などと記載します。
しかしながら、「金○○万円を○月○日までに振り込まなかった」からといって、何かが起こるわけではありません。
しかし、その内容証明郵便には、「上記の金銭を振り込まれない場合は、法的措置を取ることになります」というようなことも記載されているのが一般的です。この法的措置とは、調停、訴訟などを意味します。
つまり、内容証明郵便を受け取っただけでは、何らかの法的義務が発生するわけではありませんし、振り込む、振り込まない、返答する、返答しないなどは、受け取った人の自由ですが、振り込む、振り込まないは別にしても、何の返答もしない場合は、法的措置を取られる可能性が飛躍的にアップすることが考えられます。
使用する意味
上記のように、内容証明郵便で婚約破棄の慰謝料を請求したからといって、必ず口座に慰謝料が振り込まれるわけではありません。
また、婚約破棄の慰謝料を普通の手紙で請求すれば80円か90円で済みますが、内容証明郵便で請求すると用紙1枚で1220円、用紙2枚で1470円、用紙3枚で1720円がかかります。(電子内容証明郵便を使用すればもう少し安く済みます)
婚約破棄した(あるいは婚約破棄誘致責任がある)元婚約者に、こちらの要求を伝えるだけで結構なお金がかかります。
一番大きな理由は、何としても請求するという本気度を相手に伝えることができることでしょう。
例えば、メールや電話、普通の手紙と比べて、内容証明郵便はいたるところに印鑑(差出人や郵便局長の)が押されています。初めて見る人にとっては、非常にプレッシャーを受けるものだと思います。
そのようなプレッシャーを与えることによって、「内容証明郵便を出してくるほど、相手は本気なのだ」という印象を与えることが可能です。
使用してはいけない場合
上記のように、内容証明郵便を受け取ることは、非常にプレッシャーを受けます。
仕事の関係などで何度も受け取ったことがあり、受け取り慣れている人(?)ですら、何となく嫌な気分になるものです。
ですから、婚約を破棄した(あるいは婚約破棄誘致責任がある)元婚約者が、婚約破棄後に全く誠意を見せないケースなら、すぐに内容証明郵便を送るほうがいいのですが、ある程度の誠意を見せようとしている場合などには、内容証明郵便ではなく、一般書留や簡易書留等で、婚約破棄の慰謝料を請求された方がいいでしょう。
その一般書留や簡易書留等での請求を本気と受け取らない(放っておけば諦めると思われる)のであれば、もはや誠意なしと判断し、初めて内容証明郵便で婚約破棄の慰謝料を請求されればいいのです。
弁護士や行政書士作成を依頼する必要性
内容証明郵便作成に関する書籍は、本屋さんに行けば何冊も目にすることができます。
そして、婚約破棄の慰謝料請求についての文例もあるでしょうし、どれも似たような感じだと思いますが、例えばこんな感じではないでしょうか。
- ※婚約破棄の慰謝料請求内容証明郵便の文例
- 「貴殿と私は平成○年○月○日に婚約し、結婚式場を予約するなど結婚の準備をしてきました。ところが貴殿は、平成○年○月○日に「他に好きな女性ができた」という理由で一方的に婚約を破棄する旨を通告してきました。この貴殿からの一方的な婚約破棄により私の受けた精神的苦痛は甚大でありますので、慰謝料として金○万円請求します。つきましては、下記の口座に、本書面到達後○日以内にお振込ください。また、期日までに慰謝料の振込がない場合は、法的措置を取ることになりますことをご承知おきください。」
このままの文章を写して出すことが最悪であるとまでは言いませんが、あまり良いとは言えませんし(詳しくはこちらの婚約破棄慰謝料請求内容証明郵便の書き方をご覧ください)、ほとんど効果は期待できないと思われます。
なぜなら、これでは婚約を破棄した(あるいは婚約破棄誘致責任がある)元婚約者にプレッシャーを与えられません。
これを受け取った相手は、本屋に行くかもしれませんし、インターネットで調べるかもしれません。すると、「ああ、この本を写したのか、ビックリして損したよ」程度にしか思わないかもしれません。
また、上記の文例をそのまま写せば、法的には何の問題もありませんが、「こういうことも書きたい」「私はあのときこう思った」など、記載したいことが他にもあるでしょう。ここが問題なのです。
内容証明郵便を書きなれていない人が書くと、脅迫文のようになる場合や、感情的な文章になって何を言いたいのか分からなくなるなどして、後々不利になる恐れがあるのです。
なぜなら、内容証明郵便は証拠として残るからです。
さらに、「金○○万円を請求します」の○○に入る数字が問題です。
慰謝料は精神的損害に対する賠償ですから、いくら請求してもいいのですが、そのケース、そのケースによってある程度の相場(らしきもの)はあります。
100万円程度取れればいいと思われるような事例で、500万円だの1000万円だのを請求することは、自ら解決したくないと言っているようなものです。
これらのことを防ぐために、専門家(弁護士又は行政書士)に依頼する方法も考慮されたらいいと思います。
専門家名で出された内容証明郵便は、相手が受けるプレッシャーが全然違います。「専門家まで入ってきたら、払わないとどうなるかわからない」との思いを抱かせることができます。
また、請求者が記載したいことを、それを記載することは法的に可能か不可能かの判断をしてくれることでしょう。もちろん、○○万円のアドバイスを受けることもできます。
当然、専門家に依頼するとお金がかかります。婚約破棄の慰謝料請求の内容証明郵便であるならば、弁護士で3~5万円程度、行政書士で1万5千円~3万円程度が一般的でしょうが、そのお金を出す以上に得られるメリットはあると思います。
拒絶されたら?
なお、内容証明郵便に記載した慰謝料の金額は、拒絶されることが普通です。
ご自身が請求される立場になってみれば分かると思いますが、「○月○日までに金○○万円お振込下さい」と記載されていた場合、「分かりました、すぐに振り込みます」とはならないですよね。「婚約破棄した私だけが悪いのではない」「金額が高すぎる」など、反論したくなることでしょう。
1 請求額を再考する
一つには、慰謝料額を下げるなどして再度交渉する方法があります。最初の慰謝料額では納得できないが、多少下げれば納得する場合もあるものです。
請求する側は、出来ることなら話し合いで解決したいと思っていることでしょう。逆に、請求された側も基本的には話し合いで解決したいと思っており、法的措置(調停、訴訟)を取られることは嫌なのです。
ただ、納得できない金額では和解できないのですから、お互いに金額で歩み寄りができるならば、その道を探るほうがいいことは間違いありません。
2 法的措置を取る
もう一つは、法的措置(調停、訴訟)をとることも考えられます。
調停は弁護士に依頼しないでも、ご自身で遂行することが可能と思いますので、それほどの費用はかかりません。但し、訴訟となると、どうしても弁護士に依頼することになるでしょう。
当然のことながら弁護士費用がかかりますので、勝訴しても「骨折り損のくたびれもうけ」になることも、下手をすると赤字になることも充分に考えられますから、費用と効果を見極める必要があります。
なお、内容証明郵便自体を完全に無視された場合は、再度内容証明郵便等を送付して元婚約者に対応を求めるか、法的措置を取ることになります。
