扶養義務、親、要扶養、扶養料、扶養の余力、扶養の方法、扶養の程度

親の扶養問題について、神奈川県横浜市の行政書士事務所が分かりやすく説明しております。

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扶養の基礎知識で見てきたことを参考にしながら、親の扶養問題にテーマを絞って見ていくことにしましょう。

<扶養義務の発生>
親を扶養するに際し、扶養義務が生じるのは親が要扶養者であり、扶養義務者である子供に扶養の余力がある場合です。

【要扶養者】

親が要扶養者であることとは、その親の資産と労働でその人すべての生活需要が満たされないということです。例えば、

(1)「高齢になったことにより働けなく、財産の蓄えもない」

(2)「働くことは出来ても、長時間働けない、財産の蓄えも少ない」

というような状態で、その人のすべての生活需要(食費、住居費、光熱費、交際費など)を自力(労働と資産)で満たすことができないということです。

では、このような要扶養状態を招いた原因が、その親自身にある場合、子供に扶養義務はあるのでしょうか?例えば、現役中に仕事をして蓄えた財産を、浪費し、怠惰な生活を送り続けて無一文になったとしたら、子供に対して扶養請求はできるのでしょうか?

この場合は、その親の過失の程度にもよりますが、自分自身の過失により要扶養状態になったときは、原則として扶養請求はできないものと考えられています。

【扶養の余力】

次に、子供の扶養の余力とはどういうものでしょうか?

扶養の余力とは、扶養義務者(子供)の資産や、労働して得た収入から、その扶養義務者の社会的地位・身分にふさわしい生活をするのに必要な費用、要扶養者(親)よりも先に扶養しなければならない人(扶養義務者の子供、配偶者など)に対する扶養料などを控除した後の、経済的な余力のことです。

これを、簡潔にまとめると次のようになります。

(扶養義務者の資産、収入)−(相応の生活費)−(先順位の被扶養者の扶養料)−(その他)=扶養の余力

子供が親を扶養しなければならない「扶養義務の発生」は、親が要扶養状態であり、子供に扶養の余力があることが条件です。原則として扶養義務を負うのは、直系血族と兄弟姉妹です。親子の関係は直系血族に当たるのですが、扶養義務者の配偶者に扶養義務はありません。

誰でも知っている例を挙げれば、アニメのサザエさんで、「なみへいさん」と「ふねさん」に対して扶養義務があるのは、「サザエさん」であり、「ますおさん」は「なみへいさん」と「ふねさん」に対しての扶養義務はありません。

しかし、「サザエさん」は専業主婦です。専業主婦に扶養の余力はあるのでしょうか?

家庭裁判所の審判例で、夫から毎月渡されるお金の中で、妻自身の交際費、娯楽教養費、その他の諸経費として割り当てられる金額の中から、その一部を割いても社会的地位、身分にふさわしい生活が出来るときには、扶養の余力があるということになります。

つまり「ますおさん」から渡されるお金から、「サザエさん」自身に割り当てられる交際費(「たいこさん」とのお茶代など)、娯楽教養費、その他の経費から、一部を「なみへいさん」「ふねさん」に渡しても、社会的地位、身分にふさわしい生活が出来るときには、扶養の余力があるのです。(ただし、「なみへいさん」は、まだ現役で働いていますから、要扶養状態ではありません。)

【扶養の方法】

扶養の方法には、大きく分けて二つあります。一つは金銭扶養、もう一つは引取扶養です。生活扶助義務においては(子供が親を扶養する)、金銭で支払うのが原則です。定期的に、月々いくらとして、継続的に払っていくのが一般的です。

引取扶養の場合には、入る側(親)、受け入れる側(子供とその家族)の人間関係も問題の一つです。要扶養状態になる前には、さんざん嫁に嫌がらせをしておきながら、「要扶養状態になったから、引き取ってくれ」と言われても困るでしょう。

引取扶養は、親、子供、子供と同居している家族全ての同意があるときにのみ、行うことが理想です。そうしないと、結局あとで、またもめてしましますから。

【扶養の程度】

扶養の基礎知識でおおまかに、扶養の程度については説明していますが、ここではさらに詳しく、親子間の扶養の程度について見ていきましょう。

子供が親を扶養する場合、生活扶助義務にあたると考えられています。生活扶助義務とは、扶養義務者の余力の範囲内で、要扶養者を扶養していくことです。子供の余力の範囲内で、親の全生活需要が満たされるまでとなります。子供の余力が、親の全生活需要を満たしても、余りがあった場合、それ以上扶養をする義務はありません。

扶養の程度を決めるには、扶養権利者(親)の需要、扶養義務者(子供)の資力、その他一切の事情が考慮されることになります。一切の事情を考慮するといっても、漠然としすぎていますので、具体的に説明しますと、次のような家庭裁判所の審判例があります。

(1)扶養の必要性は生活保護基準を勘案し、扶養の余力は住所地における世帯人員別標準生活費を基準とするもの

(2)扶養の必要性は生活保護基準をそのまま採用するもの

などがあります。詳しくはもっとあるのですが、ここでは代表的な例を挙げておきます。扶養の程度を決めるには、上記のような算定基準の他に、要扶養者(親)、扶養義務者(子供)の双方の主観的な事情、客観的な事情、従来の関係などが考慮されることになります。

【扶養料の算定方法】

何人か扶養義務者(子供)がいる場合の方法を説明します。

まず、要扶養者(親)が必要とする生活費を計算して扶養料の額を決めます。次に扶養義務者(子供)の扶養能力に応じて割り振ります。親の生活費の算出方法は、様々な方法がありますが、生活保護の基準を参考にして出す方法が多いようです。

その算定額から、要扶養者の収入(年金など)を差し引いて、扶養料の額を決定し、それらを扶養義務者(子供)の扶養能力に応じて負担することになります。

順序としては以下のようになります。

(1)生活保護の基準等を参考に、要扶養者の生活費を算出する。

(2)算出された生活費から、要扶養者の収入(年金等)を引く。

(3)扶養義務者の扶養能力に応じて、負担金額を決定する。

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