扶養義務、扶養権利者、扶養義務書、不要の順位、扶養の程度、扶養の方法

扶養の基礎知識について、神奈川県横浜市の行政書士事務所が分かりやすく説明しております。

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扶養とは、自分の資産と労力で生活できない者に対して、経済的援助を与えるという制度です。扶養と一言で言いましても、大きく分けて二つの扶養があります。

(1)私的扶養・・・・・経済的あるいは身体的に生活援助を必要とする人がある場合、一定の親族関係などの近親者が扶養しなさいということです。

(2)公的扶養・・・・・上記のような人々に公的な立場から生活援助を与えるということです。(生活保護)

では、扶養を受けようとする人は私的扶養か公的扶養かを選ぶことができるのでしょうか?例えば、親類と疎遠になり扶養を頼みにくい、あるいは子供たちに経済的、身体的、精神的に負担を掛けたくないからと公的扶養を選ぶとのことはできるのでしょうか?

残念ながらこれはできません。生活保護法第4条に、私的扶養が公的扶養に優先するとの条文があるのです。つまり、私的扶養を受けられない人に限り、公的扶養を請求する権利があるということなのです。

【扶養権利者】

扶養権利者とは、扶養してもらうことを要求できる権利がある人のことをいいます。まず誰が扶養権利者(扶養される人)となるかについて見ていきましょう。

自分がバリバリ働いていて、収入も多い人から「扶養してくれ」と言われても困りますよね?困るどころか腹がたちませんか?でもご安心を。自分に生活する余裕があるのに扶養を要求することはできません。つまり、自分の労働あるいは資産によって生活できない人が要扶養状態(扶養が必要な状態)にあり、この状態にあってはじめて扶養を要求できるのです。

【扶養義務者】

扶養義務者とは、扶養権利者(扶養される人)を扶養しなければならない人のことをいいます。誰が扶養義務者となるかについては民法に定められています。

(1)直系血族・・・・・自分を中心として、父母、祖父母、子、孫など家系図で縦に一直線に記される関係をいいます。(叔父、叔母等は含まれません)

(2)兄弟姉妹

上記(1)と(2)は当然に扶養義務者となります。

(3)三親等内の親族・・・叔父、叔母と甥、姪の関係などが典型です。

上記(3)に関しては特別の事情があるときに、家庭裁判所の審判により扶養義務を負うことになります。特別の事情とは、その人(扶養される人)に大変お世話になり現在の裕福な生活を送れるようになった、以前その人に逆に扶養されていたなどの事情を家庭裁判所が判断します。

さて、ここで素朴な疑問です。さきほど兄弟姉妹にはお互いに扶養義務があると、ご説明しました。では、健康で、働く能力もあるのに働きもせずに毎日、競馬、競輪、競艇、パチンコにあけくれる弟を、兄は扶養しなければならないのでしょうか?

こんな弟をもった兄もかわいそうですが、扶養の問題から考えれば、就労能力があるにもかかわらず怠惰で働こうとしない場合にまで養ってあげなければならないかとなると、一般的にそこまでの義務は無いと考えられます。

【扶養の順位】

扶養の順位とは、扶養義務者(扶養しなければならない人)が数人いる場合に、その人たちの中で誰が優先的に扶養義務を負うかの順番です。例えば父母を扶養する場合、子供が長男、長女、次男の三人がいたケースを考えてみましょう。誰が第一扶養義務者になると思いますか?やはり長男でしょうか?

現在の民法の規定では、長男だからといって、必ず第一扶養義務者になるわけではありません。長女や次男が第一順位になる可能性も当然あります。では誰が第一扶養義務者になるかをどのようにして決めるのでしょうか?

(1)当事者間の協議で決めます。

(2)当事者間の協議がまとまらなければ、家庭裁判所の調停(話し合い)にかけ、それでもまとまらなければ、家庭裁判所が審判で決めることになります。

【扶養の程度】

扶養の程度とは、どのくらい扶養すればいいかということです。例えば、もう一家には米が一合しかない場合に、その米を扶養義務者と扶養権利者で分けなければならないのか、それとも扶養義務者が食べた残りを扶養権利者に分ければいいのかという問題です。

扶養の程度は誰を扶養するかによって異なってきます。

(1)生活保持義務(親が未成年の子、夫が妻を扶養するなど)

自分と同じ程度の生活をさせなければならない扶養の程度のことを、生活保持義務といいます。例えば、夫が妻を扶養している場合に「夫が焼肉を食べているのに、収入のない妻にはカップラーメンしか食べさせない」などは生活保持義務を果たしているとは言えません。先程の一合の米は、扶養義務者(この場合は夫ですね)と扶養権利者(妻)で仲良く(別に喧嘩をしながらでも問題ありませんが)分け合って食べなければなりません。

(2)生活扶助義務(子が親を、親が成人した子を、兄が妹を扶養するなど)

自分の生活を犠牲にしない限度で援助する扶養の程度のことを、生活扶助義務といいます。例えば子供が親を扶養する場合、先程の一合の米は扶養義務者である子供が「自分が食べる分を犠牲にしてまで、親に食べさせなければならない」ということにはなりません。あくまで自分の生活を犠牲にしない限度で扶養すればいいのです。兄弟間の扶養も、この生活扶助義務です。

また扶養の程度についても、当事者間の協議で決め、まとまらなければ家庭裁判所の調停にかけ、それでもまとまらなければ、家庭裁判所が審判で決めることになります。

【扶養の方法】

扶養の方法とは、どのような方法で、どれくらいの(いくらぐらいの)金額を扶養するかということです。扶養の方法にはどのようなものがあるのでしょうか?金銭によるものや(仕送りなど)、現物によるもの(物を与えるなど)、あるいは扶養される人を引き取って扶養するというようにさまざまな方法があります。

では、どの方法を取るかは誰が決めるのでしょうか?

扶養の方法も、扶養の順位、扶養の程度と同様に当事者間の協議が優先されます。また、協議がまとまらなければ家庭裁判所の調停にかけ、それでもまとまらなければ、家庭裁判所が審判で決めることになることも同じです。

公的扶養とは、私的扶養を受けることが出来ない人が受ける扶養のことです。

日本国憲法25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。しかし、いくら豊かになったとはいえ、あるいは豊かになったからこそ、社会には自力で十分な生活が送れない人がまだまだたくさんいます。このような人々を放っておくわけにはいきません。当然誰かに扶養してもらわなければならないわけです。

では、誰が扶養義務を負うのでしょうか?

私的扶養の項で扶養義務者という人達がいました。これは(1)直系血族、(2)兄弟姉妹、(3)特別な事情がある三親等内の親族でした。

しかしこれらの人がいない、あるいは何らかの事情により扶養できない場合に限り、行政による公的扶養を求めることが出来るのです。

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