不倫の被害者は誰?
不倫慰謝料に関する相談を数多くお受けしておりますと、このことを理解されていない方(あるいは理解していても受け入れられない?)も多いようですので、ここでは「不倫の被害者は誰か」ということをご説明します。
重要なことは、法律の観点からと一般常識的な観点からの被害者は異なるということです。
法律の観点と一般常識の観点の相違
「被害者=精神的な苦痛を受けた人」とすると、一般常識の観点からのほうが、法律の観点からよりも多くの被害者が生じることになります。
例えば、父親(母親)に不倫をされた子供がある程度の年齢に達していて、不倫という行為を理解できるのであれば、少なからず精神的な苦痛を受けることもあるでしょうし、義理の息子(娘)に不倫をされたことで実の娘(息子)が苦しんでいる姿を見れば、その親もまた精神的苦痛を受けると思います。
また、不倫相手から突然別れを切り出されたことによって精神的苦痛を受けた不倫の当事者もいるでしょう。
しかし、上記例のような人々は、一般常識の観点からすれば不倫の被害者と言えるでしょうが、法律の観点からの被害者とは言えません。
法律の観点
それは「不倫をされたことによって、その精神的損害を慰謝すべき法的保護に値する人」と言えます。
ここでは「法的保護に値する=慰謝料請求権を有する」とお考えいただいて結構です。
原則として、配偶者に不倫をされた人は、不倫相手に対して慰謝料請求権を有する(既に婚姻関係が破綻している場合や不倫相手が既婚者と知らずに関係を持っていた場合等は慰謝料請求権を有しません)ことになります。
その理由は不倫をされたことによって、平穏な婚姻生活を送る権利が侵害されており、その権利は法的保護に値するからです。
対して、父親(母親)に不倫をされた子供が精神的な苦痛を受けた場合や、義理の息子(娘)に不倫をされたことで実の娘(息子)が苦しんでいる姿を見て精神的苦痛を受けた親の場合は、原則として法的保護に値するとは言えません。
そのため、父親(母親、あるいは義理の息子や娘)の不倫相手に対して、慰謝料請求権を有するものではありません。
不倫相手に一方的に別れられた人は?
当事務所によく寄せられるご相談で、不倫相手に一方的に交際を止められたことによって精神的苦痛を受けたので、慰謝料を請求したいというものがあります。
お話をお聞きすれば確かにその不倫相手は酷い男性(女性)であり、相談された方が非常にショックを受けたことはよく分かります。
しかし、このような不倫の当事者を法律が被害者と認めることは原則としてありません。
なぜなら、そもそも不倫関係は公序良俗に反するものであって、その関係が一方的に解消されたことに対して法的保護を与えてしまえば(慰謝料請求権を与えてしまえば)、一般的な倫理観や社会常識を覆すことになるからです。
よって、不倫相手に一方的に別れられた当事者は、いわば高校生などの男女交際と同じであり、どんなに酷い別れ方(メール一通でサヨナラなど)をされたとしても、その相手に慰謝料を請求する権利はありません。
もちろん、不倫関係にある間に殴られたなどの事情があれば、その殴られたことに対して慰謝料を請求することは可能です。
女性の一番いい時期に対する慰謝料
不倫相手である男性に女性の一番いい時期を尽くしてきたのに、突然一方的に別れを切り出され、その時には既に婚期を逸していたことに対して、不倫相手の男性に責任を取ってほしい(慰謝料を支払ってほしい)というご相談もよくお受けします。
女性の一番いい時期に定義などはないでしょうが、男性の私が思うに20代ぐらいでしょうか・・・
しかし、これも上記の「不倫相手に一方的に別れられた人」と同様に、そもそも不倫関係は公序良俗に反するものです。
そのため、女性の一番いい(と思われる)時期を不倫相手の男性に費やして婚期を逸したとしても、そのことに法的保護を与えられることはありません。
結婚しようと言われていた場合は?
例えば、不倫相手の男性が「妻とは離婚したいと思っているし、君と結婚したいと思っている」などと言って、その言葉を信じて待っていたとしても同じです。
これは原則として(不倫相手夫婦の婚姻関係が完全に破綻している場合は別です)婚約にも該当しません。
なぜなら、日本の法律は重婚(同時に複数の人と結婚すること)を禁止しているので、配偶者がある人との婚約は成立しないからです。
私個人の考えですが「妻と別れて君と一緒になりたい」などと言う男性は、そもそも信用するに値しないでしょうし、そういうことを言う男性に限って離婚もせずにフラフラしているように感じます。
本当に奥さんと離婚して、不倫相手の女性と結婚したいならば、さっさと離婚しているはずです!
